こいさんアパートで臥てるねん、たった独りで不便やさかいに姉ちゃんが行ったげてるねん、大した病気やあれへんさかいに子供が心配せんかてええ、と、叱りつけるように云うと、それきり黙ってしまったけれども、母の言葉を果してその通りに受け取ったかどうか、貞之助と幸子が何とか紛らそうとして別のことを話しかけても、浮かぬ面持で生返事をして、箸を運びながら時々そっと両親の顔を上眼で覗き込んでばかりいた。
この児は去年の暮以来姿を見せぬ妙子のことを、仕事が忙しいのであろうと云う風に聞かされて来たのであるが、それでもお春から事情をあらまし知らされていたし、又或る程度は知っていてくれる方が母にも都合の好いことがあった。
彼女はそれから二三日の間、お春だけが頻繁に往ったり来たりして、雪子がちょっとも戻って来ないのを見ると、いよいよ不安で溜らなくなったらしく、お春のあとを追いかけてはその後の容態を尋ねていたが、しまいには母を掴まえて、