こう云う時に櫛田さんならきっとジャンジャン注射してくれるのに、と雪子は云うのであるが、看護婦に聞くと、斎藤医師の父子は父親の老先生が注射ぎらいなので、若先生もその感化を受けて、余程の場合でなければ注射しないのであると云う。
で、もうこうなったら世間体や何かを構ってもいられないから、いっそ櫛田先生を呼んだ方がよいと思うが、何にしても中姉ちゃんに一遍様子を見に来て貰いたい、と、雪子娘さんは仰っしゃっていらっしゃいます、と云うのであった。
お春はそれに附け加えて、ここ五六日の間でございますけれど、こいさんは痩せて痩せてえらいお変りになりました、御寮人様が御覧になったらほんとにびっくりなさいます、と云ったりした。