こいさんは、あの男の死に方が尋常でなかったので、それが余程気に懸っているらしく、未だに毎月岡山の田舎まで墓参りに行くのも、一つはそのためなのであろうと察しられるが、ちょうど折も折、あの男の一周忌が近づいた時に重い病気に取り憑かれて、而もあの男の恋敵であった啓坊の家で寝付くようになったと云うことは、神経に病まない筈はあるまい。
こいさんはああ云う風な底に底のある性格であるから、お腹の中は何を考えているのやら容易に窺えないけれども、きっとこの間からそのことが胸にあったので、何かそれに関係のある夢を見たのであろう。
尤もこれは全く自分の想像であるから、当っているかどうかは分らない。