ただお春が時々そっと訪ねるらしく、今もそのアパートに住んでいること、啓坊とは内々交際しているけれども先方の家へ泊り込むようなことはしないらしいと云うことを聞いて、まあまあそれならと、いくらか安心していたような訳でした。
ところが先月の末突然啓坊からお春に電話が懸り、こいさんの病気のことを知らせて来ました。
まことに都合の悪いことには、啓坊の家に遊びに行っていて発病しましたので、動かすこともならず、そのままそこに寝かせてあると云うことでしたが、最初は病名もよく分らず、そう重大にも考えられなかったので、知らない体にしていましたところ、その後だんだん赤痢の徴候が明かになりました。