しかしもう絶縁したのですし、啓坊の家で世話になっているものを、引取ってよいものかどうか迷ったのですが、お春がえらく心配して、赤痢も悪性の赤痢だし、お医者さんも近所のたよりない人に見て貰ってるだけ、手当も十分には行き届かず、それに高熱と下痢とで日々の苦痛が激しく、大変衰弱して別人のように痩せ細っておられますと云う話。
そう聞いても私は放っておいたのですが、雪子ちゃんが私に無断で飛び出して泊り込みで看病に行きましたので、私も捨てておけなくなり、見舞いに行って見てびっくりしました。
お医者さんの話では肝臓膿瘍と云う病気を併発しているようで、それであったら事に依ると助からない、自分だけでは心もとないから誰か専門の大家を呼んで下さいと云うのですが、こいさんも私の顔を見ると涙をぽろぽろとこぼして、此処で寝ているのはいやだから何処か外の場所へ移してほしいと云うのです。