お医者さんの話では肝臓膿瘍と云う病気を併発しているようで、それであったら事に依ると助からない、自分だけでは心もとないから誰か専門の大家を呼んで下さいと云うのですが、こいさんも私の顔を見ると涙をぽろぽろとこぼして、此処で寝ているのはいやだから何処か外の場所へ移してほしいと云うのです。
それがどうやら啓坊の家で死ぬのは嫌だと云うようにも聞えるのです。
これは雪子ちゃんの想像ですが、あの板倉と云う写真師の一周忌が近づいて来ているので、こいさんは何かあの男のたたりと云うようなものを恐れているのではないかとのこと。