雪子は一と言、「姉ちゃんらしいわ」と洩らしただけで戻って行ったので、どう云う意味で云ったこととも分らなかったけれども、幸子は何かその手紙から余り好い感じを受けなかった。
率直に云うと、姉はその手紙で、自分が最早や妙子に対しては殆ど愛情を持っていないこと、寧ろ妙子が捲き起す災厄から自分たち一家を守ることにのみ汲々としていることを、不用意のうちに曝露しているのであって、それも一往尤もではあるが、しかしそう云う風に云われては、妙子にも不憫が懸るのであった。
成る程今度の病気なども、「罰が当ったようなもの」だと云って云えなくはないけれども、乙女時代から好んで波瀾重畳の生き方をした妹であるだけに、或る時は水害で死に損なったり、或る時は地位も名誉も捨ててかかった恋の相手に死なれてしまったり、全く彼女一人だけが、平穏無事な姉たちの夢にも知らない苦労の数々をし抜いて来ているので、もう今迄に罰は十分受けているとも云えるのである。