幸子は、そんな風では又二三日うちに来るかも知れないと思うにつけて、この際此方から訪ねて行って、今後病院へは二度と来てくれないように頼み込むことが必要であると感じたが、そう云えば、どちらにしても一遍奥畑へ挨拶に行くべき場合なのであった。
と云うのは、先月末の斎藤医師の勘定なども、多分奥畑が払ってくれているのであろうし、妙子が臥ていた十日ばかりの間の薬餌を始め附添人の食い雑用などでも、随分厄介を掛けている筈で、細かいことを云えば、医者の送り迎えをした自動車代、運転手への心付け、日々の氷の代金などを考えても、相当の金額を立替えて貰っているのであったが、実はあれ以来それらの義理を済ましていないのであった。
が、今更金で持って行っても受け取ってはくれないであろうし、………それも、斎藤医師の分ぐらいは是非受け取って貰うとして、あとは品物にするより仕方がないが、どのくらいに見積って、どんなものを持って行ったらよいであろうか、幸子にはその辺のことが分らないので、なあ、こいさん、どんなものやろうか、と妙子に聞くと、そんなこと、うちが味善うするよって放っといて、と、妙子は云って、今度の費用は、奥畑方で病臥中の分も、入院してから以後の分も、当然自分が支払うべきものだけれども、病中は貯金を引き出すことが出来ないので、一時啓ちゃんや中姉ちゃんに立替えて貰っているのである、いずれ全快した上で自分がすっかり清算するから、中姉ちゃんはそんな心配をしないでほしい、と云うのであった。