が、だからと云って、こいさんを一種のヴァンパイアのように云う婆やの言葉迄を、虚言であるとすることは出来ない。
ちょうど婆やが啓坊を買い被っているように、私たちもこいさんと云うものをいろいろの点で買い被っていたのである。
………幸子は、従来とても妙子の指に新しい宝石が光っているのを見る度毎に、忌まわしい疑念を抱かないでもなかったのであるが、………しかし妙子は、さも自分の働きで買った品物のように云って自慢したものなので、その得意そうな様子を見ては、そう云う疑念も立ちどころに消え失せるのが常であった。