そして、さすがに遠慮して、婉曲な云い方でそのことを諷していたのであろうが、そのくらいならもっとはっきりと注意してくれたらよかったのであった。
幸子はその日、もう西宮へ行くのも止めにしてしまい、少し頭が重いからと、ピラミドンを飲んで二階の部屋に閉じ籠ったきり、打ち拉がれたようになって、夫にも悦子にも顔を合わせないようにして暮したが、その明くる朝も、夫を送り出してしまうと、又寝室へ上って行って横になった。
妙子が入院してからと云うもの、大概毎日見舞いに行くことにしていたので、午後にでもちょっと行って見ようか、とも思ったが、何だか妙子と云うものが急に今迄とは別箇のもの、―――自分とは遠く掛け離れた、薄気味の悪い存在になったような気がして、逢いに行くのが恐いようにも感ぜられた。