奈良の建物は白木と云っても年代が古く、うす汚れしていて、暗く陰鬱な感じがしたが、ここは壁や柱の隅々までが真新しく、清々しかった。
それは普請してからそう年数がたっていないせいもあろうが、一つにはこの山間の空気の類なく清澄なせいなのである。
幸子は着いた翌日の午後、昼の食事のあとで、暫くベッドへ仰向けに臥てじっと天井を視詰めていたが、そうしていても、一方の窓からは富士の頂が、他の一方の窓からは湖水を囲繞する山々の起伏が、彼女の視野に這入って来た。
奈良の建物は白木と云っても年代が古く、うす汚れしていて、暗く陰鬱な感じがしたが、ここは壁や柱の隅々までが真新しく、清々しかった。
それは普請してからそう年数がたっていないせいもあろうが、一つにはこの山間の空気の類なく清澄なせいなのである。
幸子は着いた翌日の午後、昼の食事のあとで、暫くベッドへ仰向けに臥てじっと天井を視詰めていたが、そうしていても、一方の窓からは富士の頂が、他の一方の窓からは湖水を囲繞する山々の起伏が、彼女の視野に這入って来た。