………なあ、こいさん、………あたしかてお小遣いぐらい上げられるがな」
幸子は、夫が昨今或る軍需会社に関係し出してから彼女も懐工合がよく、家計の方も大分ゆとりが出来るようになっていたので、雪子の世話など殆ど本家の仕送りを受けず、此方で負担していたのであったが、雪子の面倒を見るからには妙子にもしてやった方が、と、かねて夫から云われていたくらいなのであった。
で、折があるとそんな工合に云うのであったが、妙子はいつも何となく受け流して、決してその好意に縋ろうとはせず、謂われなく人の合力を求めるのは嫌であると云う、矜恃を持っているかに見えた。