―――自分もよくは知らないのだが、実は今度、満洲国の役人が日本へ来て、満洲国皇帝のお附になる日本人を二三十人募集している。
お附と云っても式部官だの侍従だのと云う高級官吏ではなく、単に皇帝の側近に仕えて身の周りの世話をするボーイのようなものであるから、智能や学問はどうでもよい。
ただ素姓のはっきりしている者、ブルジョア育ちの、容貌が端正で儀礼や身嗜みの心得のある者、と云うことなので、つまりお上品な坊々でさえあれば頭は少しぐらい低能でもよい、と云うのであるから、全く啓ちゃんに持って来いの口なのである。