うちはあべこべに、今に啓ちゃん養うて行かんならん思うてたぐらいやねん」
「そんなら聞くけど、―――」
と、雪子はなるべく妙子の方を見ないようにしているらしく、テーブルの上の、菊の花の挿さったガラスの一輪挿を両手で弄びながら続けたが、しかし少しも興奮している様子はなく、声の調子は平生の通りで、一輪挿を持っている細い指先も顫えを帯びてはいなかった。
うちはあべこべに、今に啓ちゃん養うて行かんならん思うてたぐらいやねん」
「そんなら聞くけど、―――」
と、雪子はなるべく妙子の方を見ないようにしているらしく、テーブルの上の、菊の花の挿さったガラスの一輪挿を両手で弄びながら続けたが、しかし少しも興奮している様子はなく、声の調子は平生の通りで、一輪挿を持っている細い指先も顫えを帯びてはいなかった。