二十七
この珍しい諍いがあったのは、昼食の時刻の直前で、貞之助も、悦子も知らず、お春も折柄使いに出ていた間のことであった。
それに、始めから終りまで孰方も大きな声を立てず、鎖された食堂の中で普通の声で云い合っていたので、台所の女中たちも気が付かなかったくらいであったが、今のバタンと云う響がただごとでなかったので、お秋がびっくりして廊下へ飛んで出た。
二十七
この珍しい諍いがあったのは、昼食の時刻の直前で、貞之助も、悦子も知らず、お春も折柄使いに出ていた間のことであった。
それに、始めから終りまで孰方も大きな声を立てず、鎖された食堂の中で普通の声で云い合っていたので、台所の女中たちも気が付かなかったくらいであったが、今のバタンと云う響がただごとでなかったので、お秋がびっくりして廊下へ飛んで出た。