ほんとうに、自分はお世辞でも何でもなく、こんな結構な御姉妹を持った良いお嬢さんはいらっしゃらないと思うにつけても、何か自分に課せられた責任を果たさずに行くような気がしてならず、この際になっても出来るものならお嬢さんの縁談に目鼻をつけ、心懸りの種を除いて行きたい念願が切なのであるが、それについて一つあなた方に提議したいことがある。
と云うのは、あなた方も名前は御存知であろうが、維新の際に功労のあった公卿華族で御牧と云う子爵がある。
尤も、国事に奔走した人は先代の広実で、当主広親はその子であるが、この人も既に余程の高齢に達しており、嘗ては貴族院の研究会に属して政界に活躍した経歴の持主だけれども、今では祖先の地である京都の別邸に隠棲して閑日月を送っている。