尤も、国事に奔走した人は先代の広実で、当主広親はその子であるが、この人も既に余程の高齢に達しており、嘗ては貴族院の研究会に属して政界に活躍した経歴の持主だけれども、今では祖先の地である京都の別邸に隠棲して閑日月を送っている。
ところで、自分はふとした縁で御牧家の庶子の実と云う人を知っている。
この人は、学習院を出て東大の理科に在学したこともあるそうであるが、中途退学して仏蘭西へ行き、巴里で暫く絵を習っていたとやら、仏蘭西料理の研究をしたとやら、いろいろのことを云うけれども、要するに、孰れも長く続かないで亜米利加へ渡り、何処だか余り有名でない、州立の大学へ這入って航空学を修め、兎も角もそこを卒業したのであることは確かである。