ま、ざっとそう云う経歴の人であるが、この人が近頃細君を捜している、と云うよりは、彼の周囲の人々が彼のために心配して、是非御牧氏に細君を持たせたいと云っているのである。
自分が聞いたところでは、氏は本年四十五歳だそうであるが、外国生活が長かったのと、帰朝後も独身生活の気やすさに馴れて家庭を作ろうとしなかったので、今日まで奥さん乃至奥さんらしいものを持ったことがない。
勿論西洋ではどんなことがあったかも知れないし、帰朝してからも大分新橋赤坂あたりで遊んでおり、放蕩の味は知っているらしいのであるが、それも去年ぐらい迄で、今日ではもうそんなことをする経済的能力がなくなったらしい。