だから建築屋になろうとしたのも、遅蒔ながらその方で自活の道を立てようと云う意図があった訳なので、それもこの時局でさえなかったら巧く行きそうだったのであるが、不幸にして目下のところ一頓挫を来たしているのである。
でも、華冑の子弟によくある型の、交際上手な、話の面白い、趣味の広い人で、自ら芸術家を以て任じている天成の呑気屋さんであるから、当人は一向そんなことを苦に病んでいない。
今度この人に細君を持たせようと云うのも、当人が余り呑気なので、端の者が気を揉んで、ああして置いては宜しくないから何とかして身を固めさせよう、と云い出した次第なのである。