でも、華冑の子弟によくある型の、交際上手な、話の面白い、趣味の広い人で、自ら芸術家を以て任じている天成の呑気屋さんであるから、当人は一向そんなことを苦に病んでいない。
今度この人に細君を持たせようと云うのも、当人が余り呑気なので、端の者が気を揉んで、ああして置いては宜しくないから何とかして身を固めさせよう、と云い出した次第なのである。
なお井谷の云うところに依ると、井谷がこの人を知ったのは、去年目白を卒業して雑誌「女性日本」の記者になった娘光代の紹介なのであるが、御牧氏は同社の社長国嶋権蔵氏に大変可愛がられているのである。