娘光代の話では、国嶋氏夫婦は勝負事が好きで、しばしば徹夜で、花合せ、ブリッジ、麻雀等をすることがあり、そのお相手を仰せ付かるのが、御牧氏と光代なのだと云う。
井谷は、親の口から申しますのも可笑しゅうございますがと、言訳しながら語るのであるが、彼女の娘はなかなかスマートな性質であって、年に似合わず博奕の才があり、おまけに、勝気で辛抱強くて、一晩や二晩徹夜をしても昼間は平気で社へ出勤し、人一倍活躍すると云う風なので、そんなところが社長夫婦に気に入られる原因になったのであるらしい。
で、井谷は今度の準備のためにこの間から二三回上京し、国嶋氏にも旅行免状その他のことで何かと斡旋を乞うたのであるが、そう云うことから又御牧氏にも再三面接する機会があった。