幸子と雪子は今日のうちにパアマネントを懸けなければと思いながら、井谷の美容院がなくなったとなると何処へ行ってよいか分らず、妙子が来たら彼女の知っている店と云うのへ案内して貰おうと心待ちにして、それにしてもこいさん今朝は遅いなあ、と云い云い朝を過してしまったが、そう云うことに手廻しのよい妙子は、ひとりでさっさと行って来たらしく、午後二時頃にちゃんと頭を拵えてやって来た。
何やいな、あたし等も連れて行って貰おうと思うてたのんに、と云うと、東京で懸けたらええがな、帝国ホテルに美容院あるやろう、と、ケロリとした顔で云うので、ほんに、そうやったわな、と云うことになったが、それからぽつぽつ着換えの衣裳の詮議に取りかかり、大小二箇のスーツケースとボストンバッグに荷物を詰め、夕飯を済まして身拵えをすると、もう時間がキチキチであった。
二十九