「うち、ちょっと横にさせて貰うわ」
妙子はさっき、この部屋へ這入ると「い」の一番に掛け心地のよさそうな安楽椅子を無遠慮に占拠して、ぐったりと横っ倒しに靠れかかっていたのであったが、姉たちがしゃべっている間に羽織を脱ぎ帯を解きして伊達巻姿になり、さっさとダブルベッドの上に臥ころがった。
以前の彼女はこんな場合に少しぐらい疲れていても参ったような顔をせず、二人の姉を放って置いても元気よくそこらへ飛び出すと云う風であったのに、近頃だんだん昔のような溌剌さがなくなり、ややともすると所構わず足を投げ出したり、肘枕をしたり、溜息をついたり、持ち前の行儀悪さが一層ひどくなったのは、まだ健康が本当に回復していないのかも知れないが、反動的に太り過ぎたので、何をするにも大儀なのであるらしく思えた。