この部屋にはベッドが二つしかないのであるから、夜はダブルの方へ妙子と二人で寝るより仕方がないけれども、ダブルと云っても正式のより小型のものなので、さしあたり妙子の傍へ這い上って行く気にはなれず、かと云ってもう一つの方は幸子のために遠慮したつもりなのであったが、横になっている妙子よりも、彼女の方がいつかとろとろと寝入ってしまった。
幸子は雪子の心づかいが分ったのかどうか、やがて空いている方の寝台に上って見たが、雪子がひとり椅子に掛けたまま寝入っていて、彼女も妙子も寝られないので、
「こいさん、今の間にバスに這入ろう」