それでも雪子が寝ているのを、起して風呂を使わせたり、昼の食堂に出たりしたけれども、心待ちにしていた井谷がなかなか現れそうもないので、午後からは三人で銀座へ出かけた。
そして、懸案になっている井谷への餞別の品を、何は措いても調えてしまわなければと、彼方此方の飾窓を覗いて歩きながら、洋行する人にハイカラな物は気が利かないし、何か日本の特産品で彼方の人に喜ばれそうな物はと頭を捻った末、ふと服部の地下室で螺鈿の手筥を見付けたので、それを幸子からの進物とすることにきめ、別に御木本で真珠入りの鼈甲のブローチ兼用のクリップを買って、それを雪子と妙子との連名で贈ることにした。
三人はもうそれだけで好い加減くたびれてしまい、コロンバンで一と休みすると、まだ買物が残っているのに、