で、御牧さんは将来何処でお住まいになるのでしょうか、京都のお父様が家を買ってお上げになるとか承りましたが、何処へお買いになるのでしょうか、決してそれを条件にすると申すのではございませんが、東京でなければいけないのか、就職口さえあれば関西でも差支えないのか、そう云うことも参考迄に伺って置きたいのですが、と云うと、宜しゅうございます、そのことはつい伺っておりませんけれども、早速お尋ねして見ましょう、と、井谷は云ってから、しかし恐らく東京だろうと存じますけれども、東京ではお厭でしょうか、と聞き返すので、いいえ、別段、………と、幸子は慌てて、そう云う訳ではございませんが、………と、そこのところは言葉を濁した。
では又後程、………晩の食事が済みましてから、………事に依ると、今夜光代が御牧さんをお連れして来るかと存じますから、その節は何卒私の部屋までお遊びに、………と、そう云うことでその時は一旦別れたが、果して八時過ぎに電話で、お疲れでございましょうけれども、只今お見えになっていらっしゃいますから、是非お三人お揃いで、………と云って来た。
幸子はスーツケースから幾組もの畳紙を出させて、それらを二つの寝台の上へ一杯にひろげさせ、雪子の着換えを手伝ってやってから、自分と妙子とが着換えをしたが、その間にもう一度催促の電話が懸った。