その間に御牧はウィスキーの角罎をひとりで三分の一程平げて猶自若たる有様であったが、それでも酔いが循るにつれて剽軽になり、時々奇抜な警句を吐いて皆を笑わせた。
殊に光代とは好い相棒であるらしく、盛んに辛辣な舌戦を交えるのが、まるで漫才を聞いているようなので、幸子たちは昼の疲れをも忘れ、すっかり睡気を覚まされてしまったが、あ、大変だ、電車がなくなる、と、慌てて御牧が立ち上るのに続いて、あたしも一緒に、と、光代が連れ立って帰って行ったのはもう十一時近くであった。
幸子たちはその晩が遅かったので、明くる朝は九時半頃まで寝過してしまったが、幸子は昼の食堂の開くのを待っていられず、部屋で簡単にトーストを食べると、雪子を促して資生堂の美容室へ出かけた。