殊に光代とは好い相棒であるらしく、盛んに辛辣な舌戦を交えるのが、まるで漫才を聞いているようなので、幸子たちは昼の疲れをも忘れ、すっかり睡気を覚まされてしまったが、あ、大変だ、電車がなくなる、と、慌てて御牧が立ち上るのに続いて、あたしも一緒に、と、光代が連れ立って帰って行ったのはもう十一時近くであった。
幸子たちはその晩が遅かったので、明くる朝は九時半頃まで寝過してしまったが、幸子は昼の食堂の開くのを待っていられず、部屋で簡単にトーストを食べると、雪子を促して資生堂の美容室へ出かけた。
それと云うのは、ここのホテルの地階にも美容室はあるけれども、資生堂ではパアマネントを懸けるのに、ゾートスと云う薬液を使う新しい遣り方をしている、それだと電気器具などを頭へ取り附ける面倒がなくて楽であるから、彼処でやってお貰いなさいと、昨夜光代に教えられたからであったが、行って見ると、十二三人もの先客が控えており、これでは何時間待たされるかも分らない形勢であった。