ありていに云うと、幸子は先々月、富士五湖めぐりのついでに上京した時にも、姉と電話で話しただけであったのは、眼を患っていたからでもあったが、一つには、姉が義兄の意を伝えて雪子を返せと云い出しでもして、雪子が肯じなかった場合に、板挟みになるのを恐れたからであった。
のみならず、これらの事情を別にしても、幸子には又幸子として、本家の姉を疎んずる感情があった。
それは彼女自身でも意識していないような潜在的なものではあったが、今年の四月、妙子の病気を知らしてやった時に、姉から寄越した返事の文を読んで以来、何か彼女は姉に対して不快の念を抱くようになっていた。