のみならず、これらの事情を別にしても、幸子には又幸子として、本家の姉を疎んずる感情があった。
それは彼女自身でも意識していないような潜在的なものではあったが、今年の四月、妙子の病気を知らしてやった時に、姉から寄越した返事の文を読んで以来、何か彼女は姉に対して不快の念を抱くようになっていた。
で、それらの理由がいろいろと積っているので、今度は全然顔出しをせず、こっそり帰って来たい気持もあったのであるが、知れた時に面倒だからと云う貞之助の意見もあるし、それに、雪子の縁談が、今度はひょっとすると、と思うと、矢張この機会に多少はそのことを本家の耳へ吹き込んで置く必要があった。