それでなくても、雪子ちゃんの縁談と云うと何か不吉な前兆に遇うことがしばしばであるのに、たまたま今度の見合いの場所が東京と云う廻り合せになったので、何となく幸先が悪いような気がし、東京では又ロクでもないことが起るのではないか、二度あることは三度である、と云うような予感がしないではなかったのであるが、でも今年の八月に三度目の上京を無事に済ましているのであるし、而もその時は久振に夫と愉快な旅行をして上々の首尾だったのであるから、最早や「東京行き」に纏わる悪因縁は絶たれたのである、と云う風に、努めて考えていたのであった。
それに本当のことを云えば、どうせ今度の縁談も巧くは行くまいと云ったような、捨て鉢的気分が最初にあったので、そんな縁起を担ぐ必要を感じていなかったのでもあった。
………が、今になって見れば、やっぱり東京は鬼門だった。