だがまあ、それもよいとしよう。
………が、そう云うただならぬ体であることが分っているなら、なぜ東京へ附いて来るのを遠慮してくれなかったのか。
彼女にして見れば、久振に蒔岡家の三姉妹の一人として、晴れて世間へ顔を出せることが嬉しくもあったし、そう云う機会を与えてくれた井谷に感謝する気持もあって、つい疲れ易い状態にあることをも忘れ、なあに、少しぐらい無理をしたって大したことは、と云う持ち前の図太さから、のこのこ附いて来たのでもあろうが、………そしてとうとう大儀で溜らなくなったのと、よい切掛けを得たのとで、事実を告白してしまったのでもあろうが、………それにしても、身内の者は却って思い及ばなかったけれども、三四箇月のお腹と云えば炯眼な人には随分感づかれる恐れがあるのに、宴会だの観劇だのと云う衆人環視の場所へ姿を曝して平気でいるとは、何たる大胆さであろうか。