こんな旅先の、取り散らかしたホテルの一室で、此方が疲れ切って寝ようとしている時、心に何の用意も出来ていない時に、いきなりドカンと、大袈裟に云えば天地が引っくり覆るような事実を聞かすとは、あんまり残酷ではないか。
まだしもあたしが脳貧血を起さなかったのは仕合せだけれど、何と云ういたわりのない、心なしの遣り方だろう。
外のこととは違い、隠して隠し切れるものではないから、いずれ一度は告白しなければならないであろうが、―――それも一日も早い方がよいではあろうが、今夜のように人が全く油断し切っている時、而も深夜の部屋の中に三人で置かれて、泣くことも、怒ることも、逃げ出すことも出来ない時に、こんなことを聞かすと云うことがあるだろうか。