まして妙子が彼に対して徹頭徹尾愛情がなく、三好と云う情人の種をさえ宿してしまった今日では、奥畑としてきれいさっぱり手を引くより仕方のないところであるから、お気の毒ではあるが諦めてくれるようにと、懇々と諭して見たら、いやと云うことは云える筈がないし、恐らく聴き分けてくれるであろう、と云うのであった。
貞之助は、この計画に従ってその明くる日から行動を起した。
先ず妙子を甲麓荘に訪ねて話をし、次に神戸の湊川の某アパートに宿泊している三好を訪ねて、この方も話をつけて来たが、幸子がどんな風な男であったかと聞くと、案外感じのよい青年であった、と、貞之助は答えた。