先ず妙子を甲麓荘に訪ねて話をし、次に神戸の湊川の某アパートに宿泊している三好を訪ねて、この方も話をつけて来たが、幸子がどんな風な男であったかと聞くと、案外感じのよい青年であった、と、貞之助は答えた。
一時間足らずの会見であったから、細かい観察は出来なかったけれども、板倉よりはこの青年の方が真面目で、誠実味のある人間のように、僕の眼には映った。
僕は三好を詰るような語句は用いなかったけれども、彼はこのような結果になったについては、自分にも一半の責めがあることを認め、丁寧な言葉で罪を謝したが、彼の口占から察すると、二人がそんなことになったのは、どうも三好の方からしかけたのではなく、妙子が三好を誘惑したのであるらしい。