それから妙子は分娩室へ運ばれて行き、幸子と三好とお春とは外の廊下のベンチに掛けて待っていたが、妙子の呻きが二声ばかり聞えたかと思うと、中から院長が赤ん坊を提げて非常な勢で走って出、手術室に飛んで這入った。
そして三十分ぐらいの間、繰り返し繰り返し実に根気よく平手でピタピタ叩く音が聞えたが、赤ん坊は遂に泣き声を立てないのであった。
妙子が再び自分の病室に運び込まれたので、幸子たち三人も妙子の寝台の周囲に戻って息を詰めていたけれども、いつ迄たってもピタピタと云う音ばかりが聞えて来、院長の空しい努力を続けつつある光景が想像された。