「えらいお待たせ致しまして、………」
一と目で純英国製と知れる、殆ど白無地に近い明るいホームスパンの上衣に鼠のフランネルのズボンを穿いた奥畑は、這入って来た幸子の姿を見ると、少しわざとらしい感じのする、仰々しい急激な動作で椅子から立ち上りながら「気を付け」のような姿勢をした。
妙子より三つか四つ年上であった筈であるから、今年三十一二ぐらいになるであろうか、この前会った時はまだ幾分か少年時代の面影を留めていたのに、この一二年の間に大分肥満したらしいのは、追い追い紳士型の体つきに変りつつあるところなのであろう。