ただ洋裁を習うために出かける云うことは、どうしても感心出来ませんので、まさかそんなこと、許さはる筈はない思いますけど、何卒それだけは止めさせて下さるようにお願いしたいのです。
まあ洋行したいのやったら、結婚してからでも晩くはないのですし、僕としてはその方が都合がええのんですが、………」
幸子は実際、妙子に質してみないことには、彼女がどう云う考でそんなことを云っているのか諒解に苦しむ点が多いのであったが、それは兎に角、この青年が妙子の将来の夫たることを既に公然と認められているような口の利き方をするのに、軽い反感と滑稽とを覚えながら聞いていた。