そして、そう解釈すると、仏蘭西へ行きたいと云う意味も頷けるのであって、妙子の腹は、洋裁を習うと云うこともあろうけれども、それよりは洋行を機会に奥畑と離れることが、主たる目的なのであろう、だから奥畑に附いて来られては工合が悪い訳で、恐らく何とか口実を設けて、一人で行くことを主張するであろうと思えた。
けれども猶よく話して行くと、幸子のこの推察は半ば当っているようでもあり、半ば外れているようでもあった。
彼女は妙子が他から説得されるのでなしに、自発的に奥畑を見限るようになってくれれば、それが一番望ましいことでもあるし、又妙子にはそのくらいの分別はあるものと信じてもいたので、なるべく気に触ることは云わないようにしながら、少しずつ遠廻しに尋ねただけなのであるが、それが果して本心なのか、負け惜しみの見せかけなのかははっきりしないけれども、妙子が表面何気ないようにして洩らす言葉のふしぶしを綜合すると、兎に角今のところでは、奥畑を見限る心などはなく、矢張近い将来に彼と結婚する気でいるものと判断するより外はなかった。