そしてつづけざまに、前から、後から、右から、左から、等々五六枚シャッターを切った。
階下の会場では、悦子の次に「黒髪」、「桶取」、「大仏」が出たあとで、五番目に「作こう」と云う名取の娘の「江戸みやげ」が済み、今休憩の時間に這入ってお茶やちらし鮨の接待が始まっていた。
見物席に当てられた応接間には、今日舞う人達の家族の外にはわざと案内を出さないようにしたために、精々二三十人ほどの頭数が見えているだけであったが、その中に交ってローゼマリーとフリッツとが、最前列に席を占めて、ときどき膝を崩したり胡坐を掻いたりしながらも、大人しく座布団の上にすわって、一番最初の悦子の舞から見物していた。