それにしても、今日の妙子のこの姿を見たがっている者が、雪子の外にもう一人いる筈だと思うと、流石に貞之助はその男の心中を可哀そうにも感じたが、そう云えば板倉が写真を撮りに来ているのは、事に依ると啓坊の云い付けなのではあるまいかと、ふっとそんな風に気が廻った。
「里勇さん」
と、妙子は撮影が済んでしまうと、部屋の向うの隅の姿見の前で、「雪」のあとに出る「茶音頭」の支度をしている、二十三四歳の芸者と見える人を呼んだ。
それにしても、今日の妙子のこの姿を見たがっている者が、雪子の外にもう一人いる筈だと思うと、流石に貞之助はその男の心中を可哀そうにも感じたが、そう云えば板倉が写真を撮りに来ているのは、事に依ると啓坊の云い付けなのではあるまいかと、ふっとそんな風に気が廻った。
「里勇さん」
と、妙子は撮影が済んでしまうと、部屋の向うの隅の姿見の前で、「雪」のあとに出る「茶音頭」の支度をしている、二十三四歳の芸者と見える人を呼んだ。