そしてなるべく南の方へと迂回して、阪神電車の線路の北一二丁程のところまでは、大して水に漬からずに来ることに成功したが、小学校へ達するのには、その辺でどうしても東へ横切らなければならなかった。
が、幸いその辺は水が浅くて長靴とすれすれぐらいの深さしかなく、阪神の線路を越えて旧国道の手前まで来ると、意外にも一層浅くなっていた。
その時漸く行く手に小学校の建物が見え、生徒たちが二階の窓から顔を出しているのが分ったが、ああ、学校は別状ない、ああよかったと、後の方でひどく興奮した声で独語を云う者があるので、気が付いて見ると、お春がまだ尾いて来ているのであった。