野寄の、甲南女学校の西の方へ行きたいのですがと云うと、さあ、あの辺は恐らく一番ひどいのではないでしょうか、僕等が学校を出て来る時分にもまだ増水していましたから、今頃は線路の上も、西の方は埋没してしまったかも知れません、などと云う。
やがて本山駅へ来てみると、成る程この辺は水勢が物凄い。
貞之助は暫く足を休めるつもりで線路から駅の構内へ這入ったが、既に駅前の道路には水が一杯になっており、構内にも刻々浸入しつつあるので、入口に土嚢や蓆を積み上げて、駅員だの学生だのが代る代る、隙間から漏れて来る水を帚木で掃き出している。