電気冷蔵庫が役に立たなくなっているので、井戸で冷やした麦茶を持って行かせなどして、暫く待たせてから幸子が応接間へ這入って行くと、奥畑は又この間のように立ち上って気を付けの姿勢をした。
その、真っ直ぐに揃えた紺サアジのズボンには、正しい折目がついていて、殆どハネも上っていない。
さっき泥まみれになって来た庄吉の姿とは余りな違い方であったが、たった今しがた阪神電車が大阪から青木まで開通したと聞いて、それに乗って阪神の蘆屋まで来、そこから此処まで十丁余の路を歩いただけである、その途中まだ水の退き切らない部分も少しはあったが、大したこともなかったので、そこの所だけ靴を脱いでズボンをまくり上げて渡った、と、そう奥畑は云って、