ペータアの云うことも、問い詰めて行くと矢張たよりないところがあって、何処をどう云う風に通って来たのか、どの辺が水が退かないのか、途中の状況はどんな工合であったか、等々のことは余り判然としないのであるが、ローゼマリーのような幼い少女までが無事に歩いて来たのを見ても、又この三人の服装がそんなにひどく泥でよごれていないのを見ても、彼等が此処まで到達するのにそう甚しい危険や困難に遭遇したろうとは考えられない。
とすると、幸子は、夫や妹が未だに帰って来ないことについて、いよいよ不審が深まるのであった。
こう云う少年少女たちでさえ、神戸から此処までの距離を今迄の時間に蹈破することが出来たとすれば、当然夫や妹も疾うに戻っていなければならない筈であるのに、それが戻って来ないと云うのは、何かしら間違いがあったものと思わなければならない。