いつも独りで二階にいることを淋しがる悦子が、もう勉強も済んだ時分だのに珍しく部屋に引き籠ったきり大人しくしているのが不思議であるが、こう云う時にうるさく母に附き纏うと剣突を食うことがあるのを承知して、近寄らないようにしているのであろう。
幸子は二三十分もそうしていたものの、又落ち着かなくなって来たらしく、何を思ったか二階へ上って行ったが、悦子には声をかけないで、そっと妙子の部屋へ這入って燭台を点した。
そして、南側の欄間に懸っている額の下へ、吸い着けられるように寄って行って、中に篏まっている四枚の写真を一つ一つ眺め始めた。