そう云えばあの日、貞之助と幸子と悦子とが妙子を中央に取り囲んで写したのもあったが、事に依るとあれが恐ろしい記念の写真になるのではあるまいか。
幸子はあの時、姉の婚礼の衣裳を着けた妹の姿に、何と云うこともなく感傷的にさせられて、泣きそうになって困ったことを覚えているが、この妹がいつかはこう云う装いを凝らして嫁に行く光景を見たいと願っていたことも空しくなって、この写真の姿が最後の盛装になったのであろうか。
―――彼女は努めてその考を打ち消しながら、あまり額を視詰めていると不気味になって来るので、床脇の違い棚の方へ眼を移した。