―――彼女は努めてその考を打ち消しながら、あまり額を視詰めていると不気味になって来るので、床脇の違い棚の方へ眼を移した。
と、そこにも、妙子の最近の製作に成る羽根の禿の人形があった。
六代目が大阪の歌舞伎座でこれと浮かれ坊主とを出した時、妙子が何度も通ったのはもう二三年前のことになるが、あの時分に六代目の踊を実によく観察していたと見えて、この人形は、顔はそんなに似せてないけれども、体つきの何処かしらに、六代目の感じが髣髴として来るように巧みに癖を捉えてある。
―――彼女は努めてその考を打ち消しながら、あまり額を視詰めていると不気味になって来るので、床脇の違い棚の方へ眼を移した。
と、そこにも、妙子の最近の製作に成る羽根の禿の人形があった。
六代目が大阪の歌舞伎座でこれと浮かれ坊主とを出した時、妙子が何度も通ったのはもう二三年前のことになるが、あの時分に六代目の踊を実によく観察していたと見えて、この人形は、顔はそんなに似せてないけれども、体つきの何処かしらに、六代目の感じが髣髴として来るように巧みに癖を捉えてある。