と、そこにも、妙子の最近の製作に成る羽根の禿の人形があった。
六代目が大阪の歌舞伎座でこれと浮かれ坊主とを出した時、妙子が何度も通ったのはもう二三年前のことになるが、あの時分に六代目の踊を実によく観察していたと見えて、この人形は、顔はそんなに似せてないけれども、体つきの何処かしらに、六代目の感じが髣髴として来るように巧みに癖を捉えてある。
ほんとうに、何をさせてもこんな風に器用な妹なのであるが、………末っ児に生れて一番不仕合せに育ったせいか、自分達の誰よりも世故に長けていて、自分や雪子などの方が却って妹扱いされるくらいなのであるが、………自分は兎角雪子を不憫に思う余り、この妹を多少疎んじる傾きがあったのはよくなかった。