おや、学校どうしたの、と云うと、今日は一時間で授業がお休みになったんだよ、水が出ると帰り路が危険になるからこれで帰って宜しいって云ったんだよ、へえ、水が出そうなのかい?
と、女史がそう云うと、何云ってるんだい、僕が歩いて来る後から水がどんどん追っかけて来たんで、僕、追い付かれないように一生懸命駈けて来たんだ、と、弘少年が云っているうちに、もうざあッと音がして、庭へ泥水の奔流が浸入して来、見る間に床へ上って来そうなので、女史と妙子とで慌てて其方側の扉を締めた。
と、今度は反対側の廊下の方で潮騒のようなざわめきが聞えて、今弘少年が這入って来た戸口から水が室内へ流れ込んで来た。